高知市(高知県) 障害者施設 立ち上げ・運営・分析ガイド|補助金・施設数・定員(グルホ・A型B型・就労移行・生活介護)
高知市における障害福祉施設サービスの最新動向を把握しよう
高知市で障害者施設の運営を検討するには、まず地域の障害者人口や施設数、福祉サービスの利用状況を正確に把握することが重要です。
この章では、障害福祉の現状を3つの側面から分析します。
高知市の障害者人口と推移(障害者手帳保持者の把握)
高知市における障害者手帳保持者の推移を見ることで、障害種別ごとの支援ニーズの変化が把握できます。
特に精神障害者の増加が顕著で、今後のサービス体制にも影響があると考えられます。
高知市 障害者人口の推移 (手帳保持者数)
表が画面からはみ出す場合、左右にスクロールしてご覧いただけます。
↔
障害者手帳の種類 | 令和元年 (2019年) |
令和2年 (2020年) |
令和3年 (2021年) |
令和4年 (2022年) |
令和5年 (2023年) |
過去5年間 増減率(%) |
---|---|---|---|---|---|---|
身体障害者手帳 (対象:身体障害者) |
42,276人 | 40,264人 | 38,953人 | 38,206人 | 37,062人 | -12.3% |
療育手帳 (対象:知的障害者) |
6,633人 | 6,594人 | 6,683人 | 6,764人 | 6,827人 | +2.9% |
精神障害者保健福祉手帳 (対象:精神/発達障害者) |
5,750人 | 6,142人 | 6,474人 | 6,785人 | 7,218人 | +25.5% |
合計 | 54,659人 | 53,000人 | 52,110人 | 51,755人 | 51,107人 | -6.5% |
出典:高知県「障害のある人の動向」
掲載数値は高知市内の障害者手帳保持者数の推移であり、障害種別の傾向を把握するために有用です。
手帳を交付されていない方は含まれていない点にも留意が必要です。
令和元年から令和5年にかけて、高知市の障害者手帳保持者数は全体的に緩やかに増加傾向を示しており、特に身体障害者の割合が最も高く安定しています。
今後の福祉ニーズ増加を見据えた対応が求められます。
高知市の障害福祉施設数と種類別内訳
高知市では、障害福祉施設の設置状況において安定的な数値推移が見られますが、生活介護のように近年情報が反映された種類も存在します。
高知市 障害福祉施設数
表が画面からはみ出す場合、左右にスクロールしてご覧いただけます。
↔
施設の種類 | 令和3年 (2021年) |
令和4年 (2022年) |
令和5年 (2023年) |
令和6年 (2024年) |
令和7年 (2025年) |
---|---|---|---|---|---|
グループホーム | 67事業所 | 68事業所 | 65事業所 | 65事業所 | 65事業所 |
就労継続支援A型 | 16事業所 | 17事業所 | 18事業所 | 17事業所 | 17事業所 |
就労継続支援B型 | 56事業所 | 57事業所 | 57事業所 | 59事業所 | 59事業所 |
就労移行支援 | 8事業所 | 8事業所 | 7事業所 | 7事業所 | 7事業所 |
生活介護 | 32事業所 | 32事業所 |
出典:障害福祉サービス等情報公表システム オープンデータ
本表は令和7年3月時点のデータをもとに作成しています。
分室やサテライトなどが個別事業所として扱われているケースもあるため、市町村が公表する施設数と差異が生じる場合があります。
生活介護・就労継続支援B型・グループホームの順で事業所数が多く、日常的な生活支援や軽作業を中心としたサービス提供が高知市内で充実していることがわかります。
高知市の障害福祉サービス利用状況
障害福祉サービスの利用者は年々増加傾向にあり、特に生活介護やグループホームでは今後の施設整備が求められる状況です。
高知市 障害福祉サービス利用状況 (実績と見込み)
表が画面からはみ出す場合、左右にスクロールしてご覧いただけます。
↔
施設の種類 | 令和4年 (2022年) (実績) |
令和5年 (2023年) (実績) |
令和6年 (2024年) (見込み) |
令和7年 (2025年) (見込み) |
令和8年 (2026年) (見込み) |
---|---|---|---|---|---|
グループホーム | 447人 | 482人 | 510人 | 539人 | 569人 |
就労継続支援A型 | 194人 | 207人 | 213人 | 219人 | 226人 |
就労継続支援B型 | 1,015人 | 1,020人 | 1,031人 | 1,044人 | 1,058人 |
就労移行支援 | 46人 | 44人 | 40人 | 38人 | 35人 |
生活介護 | 802人 | 828人 | 836人 | 844人 | 852人 |
出典:高知市「障害者計画・障害福祉計画・障害児福祉計画(令和6~8年度)」
※令和6年度以降の実績は記事投稿時(2025年5月時点)でまだ公開されてないため見込みとなります。
最も利用者が多いのは生活介護と就労継続支援B型であり、支援のニーズは「生活の場」と「働く場」の両面に集中しています。
施設整備や人材配置にもこの傾向を踏まえた対応が必要です。
高知市の障害者施設におけるニーズと市場動向を詳しく解説
高知市における障害者施設の整備・運営には、施設ごとの需要や充足状況の把握が欠かせません。
本章では、利用者数と定員から導き出される今後のニーズ動向を詳しく分析し、施設種別ごとの運営戦略に活かせる情報をお届けします。
障害者施設 種類別にみる利用者の現状と過不足(グループホーム・就労継続支援A型B型・就労移行・生活介護)
以下は、令和7年3月時点の定員と、令和6年〜令和8年の利用者見込みをもとに算出された、主要5種別の障害者施設における供給状況です。
高知市 障害福祉サービスの施設定員と供給状況
表が画面からはみ出す場合、左右にスクロールしてご覧いただけます。
↔
障害者施設の種類 | 定員 令和7年 (2025年) 3月時点 |
利用者数 (見込み) 令和8年 (2026年) |
充足率 (見込み) 令和8年 (2026年) |
供給状況 (見込み) 令和8年 (2026年) |
---|---|---|---|---|
グループホーム | 655人 | 569人 | 87% | 充足 |
就労継続支援A型 | 271人 | 226人 | 83% | 充足 |
就労継続支援B型 | 1,144人 | 1,058人 | 92% | やや充足 |
就労移行支援 | 64人 | 35人 | 55% | 充足 |
生活介護 | 671人 | 852人 | 127% | 不足 |
出典:障害福祉サービス等情報公表システム オープンデータ(2025年3月時点)
出典:高知市 グループホーム指定事業者一覧(2025年4月)
本表では、最新(令和8年(2026年))の見込み利用者数と定員をもとに、将来的な充足状況を評価しています。
令和6~7年の見込み推移については前セクションをご参照ください。
<供給状況について>
充足率は定員に対する利用者の割合です。
110%以上は「不足」、100%〜109%は「やや不足」、90%〜99%は「やや充足」、89%以下は「充足」と評価しています。
利用者予測と施設定員から見る需要が高まる障害者施設の種類
-
供給不足が顕著で早急な整備が求められる施設
- 生活介護:
定員を大きく上回る利用見込み(127%)となっており、高度な介護ニーズに対応する施設の整備が喫緊の課題です。
-
今後の需要増加が見込まれる施設
- グループホーム:
- 就労継続支援B型:
現在は87%の充足率で一定の余裕があるものの、精神障害者や高齢障害者の地域移行促進により、今後の利用者増が見込まれます。
利用者は増加傾向にあり、すでに「やや充足」状態です。
幅広い支援対象に対応する必要があるため、今後も施設整備が求められます。
それぞれの施設種別について、今後の整備や運営の方向性を以下で詳しく見ていきましょう。
グループホーム
障害者の地域生活を支える基盤として、グループホームは安定した需要を維持しています。
令和8年の利用見込みは定員の約87%と一定の余裕はあるものの、地域によっては偏在が見られるため、供給バランスへの配慮が今後の課題です。
就労継続支援A型
雇用契約を前提とするA型は、利用者数が安定しており、労働力としての受け入れと福祉的支援のバランスが求められています。
急激な拡大よりも、質の維持と人材育成が課題です。
就労継続支援B型
幅広い障害者が対象となるB型は、利用者数・定員ともに大きなボリュームゾーンです。
支援内容や作業環境の多様化が進む中、施設ごとの特色づけと地域内分散が重要です。
就労移行支援
利用者数は他種別と比べて少なく、供給は十分ですが、支援の質と就職定着支援の充実が今後の鍵となります。
企業とのマッチング強化も求められます。
生活介護
供給不足が最も深刻な分野であり、定員に対して利用者数が大きく上回る状況です。
今後の高齢化・重度化に備え、地域バランスも考慮した整備拡充が急務です。
高知市で障害者施設を開設するべき3つの理由
障害者施設を開設・運営するにあたっては、地域が持つ制度的・人的・環境的な支援体制の有無が成功の鍵を握ります。
高知市では他の自治体にはない3つの明確な強みがあり、施設運営者にとって非常に有利な環境が整っています。
高知市独自の補助金制度:高知市独自の支援策をご紹介
本記事の投稿時(2025年5月時点)において、高知市が独自に実施している障害者施設向けの恒常的な補助金制度は限られています。
一方で、施設運営や起業に役立つ支援策は、高知県が主体となって複数実施しており、市内の事業所も対象となる制度が存在します。
ここでは、障害者施設の運営や新規事業に活用しやすい「高知県」の補助金制度をご紹介します。
-
高知県で障害者施設にも活用可能な補助金制度(令和7年度)
- 高知県地域課題解決起業支援事業費補助金:
- 高知県デジタル技術活用促進事業費補助金:
地域の社会課題(福祉・医療・障害支援等)を解決するための新規事業を対象とした補助金です。
障害者施設の立ち上げや就労支援事業の創設にも適用可能です。
申請期限:令和7年9月30日(火)まで
補助率:1/2以内
補助上限額:200万円(通常枠)、100万円(中山間地域枠)
出典:高知県公式サイト
障害者施設でのICT導入(記録システム、支援計画作成ツール、業務効率化アプリなど)を支援する制度です。
DX化の一環としてAI・IoT導入なども対象となります。
申請期限:令和7年5月14日(水)17:00まで
補助率:1/2以内
補助上限額:450万円(一般枠)、2,500万円(加速枠)
出典:高知県産業振興センター
高知市内で障害者施設を運営する方にとっては、市の制度に限らず、県レベルの補助金も併せてチェックすることで、資金計画や施設整備の可能性が広がります。
補助金制度は年度や情勢によって変更されるため、常に最新の情報を公式サイト等で確認し、必要に応じて高知県や高知市の担当課に直接問い合わせることをおすすめします。
高知市の福祉人材支援と地域共生施策で施設運営を強力サポート
福祉分野の人材不足が全国的な課題となる中で、高知市は人材確保・育成に向けた取り組みを強化しています。
具体的には、市内の福祉系学校との連携による人材育成、研修費用への補助、地域の専門職とのネットワークづくりなどが支援対象となっています。
また、障害・高齢・児童など分野横断的な支援を進める「地域共生社会」の形成も進行中です。
施設単独では対応が難しい課題にも、地域全体で連携して取り組める環境が整いつつあります。
中山間地域を支える高知市の包括ケアで障害者支援が進めやすい環境に
高知市は中山間地域を含む広域な地理条件を持ち、医療・介護・福祉が連携する「地域包括ケア体制」を市全域に展開しています。
都市部に限らず、郊外や山間部でも障害者支援を受けられる体制が整っており、施設運営者にとっても地域密着型サービスの展開がしやすい環境です。
また、相談支援事業所や訪問看護ステーション、行政との連携が取りやすい点も、高知市ならではの大きな強みです。
高知市における主要な連携支援機関一覧:施設運営を後押しするネットワークとは
高知市で障害者施設を運営する際には、行政・医療・相談支援・教育・地域団体など多様な機関との連携が不可欠です。
以下では、施設運営を支援する高知市内の主要機関をカテゴリごとに紹介します。
行政機関
-
行政機関
- 高知市障がい福祉課:
- 高知県障害福祉課:
障害福祉サービスの計画や相談窓口、施設指定などの行政手続きに対応しています。
市町村と連携して広域的な障害福祉施策を推進しています。
相談支援事業所
-
相談支援事業所
- 高知市基幹相談支援センター:
- 障害者相談センター北部:
市内の相談支援の中心的役割を担い、関係機関との連携や地域移行支援を行っています。
北部地域における利用者や家族の相談対応を担っています。
医療機関
-
医療機関
- 高知医療センター:
- 近森病院:
高知市の中核医療機関で、障害者の健康管理や緊急医療対応を担います。
急性期から在宅までをカバーする医療機関として、連携支援を提供しています。
教育機関
-
教育機関
- 高知市立高知特別支援学校:
- 高知県立大学 社会福祉学部:
障害のある児童生徒の教育を行い、施設との進路連携も積極的に行われています。
地域福祉人材の育成を担い、施設運営との人材連携や実習支援に活用可能です。
その他の関連機関・団体
-
その他の関連機関・団体
- 高知市社会福祉協議会:
- 障害者就業・生活支援センター シャイン:
地域福祉の支援を通じて、ボランティア活動や利用者の生活支援に貢献しています。
就労支援や生活支援を専門に行い、福祉施設と連携して地域生活を支えます。
まとめ
本記事では、「障害者施設 高知市」の開設・運営を検討する方に向けて、高知市の障害福祉の現状、需要と供給の分析、行政支援の活用方法までを幅広くご紹介しました。
以下に、重要なポイントを簡潔に振り返ります。
-
高知市における障害者施設運営の要点
- 地域動向の把握:
- 施設別の需給バランス:
- 補助制度の活用:
- 人材と連携体制:
- ネットワークの活用:
高知市の障害者手帳保持者は身体障害が最多ですが、精神障害者の増加が目立っており、将来的な施設ニーズに影響が出る見込みです。
生活介護が深刻な供給不足に直面しており、就労継続支援B型やグループホームも将来的な整備が必要とされています。
高知市単独の補助制度は限定的ですが、高知県主体の支援制度をうまく活用することで資金面での支援を得ることが可能です。
福祉人材育成や地域共生の推進、包括ケアの体制整備により、運営基盤の安定化が図られています。
高知市内には行政・医療・相談・教育の各分野において連携先が豊富にあり、施設単独では難しい課題にも対応できる体制が整っています。
高知市での障害者施設開設は、正確な市場分析と地域資源の理解、そして行政との適切な連携によって、大きな成果を期待できる分野です。
本記事の情報が、今後の施設開設や運営方針を検討するうえでの一助となれば幸いです。