川崎市(神奈川県)の障害者施設 設立・運営・徹底分析ガイド|助成金・施設数・定員情報(グループホーム・就労継続支援A型/B型・就労移行支援・生活介護)
本記事では、神奈川県川崎市で障害者施設の設立・運営を検討されている方、または既に運営されている方に向けて、川崎市の障害福祉サービスの現状、ニーズ、市場分析、さらには開設・運営をサポートする連携機関まで、包括的に解説します。
川崎市独自の補助金情報や具体的な施設数、利用状況のデータに基づいた分析を通じて、事業の成功を支援します。
川崎市の障害福祉サービスの実態を把握する
神奈川県川崎市における障害者施設の設立や運営を成功させるためには、まず地域の現状を正確に理解することが不可欠です。
この章では、川崎市の障害者人口の推移、障害福祉施設の種類と数、そしてサービスの利用状況に関する最新のデータを詳しく解説し、事業計画の基礎となる情報を提供します。
川崎市の障害者手帳所持者数:人数推移と内訳
川崎市における障害者手帳所持者数は、障害福祉サービスの需要を把握する上で重要な指標となります。
以下の表は、川崎市が公表している最新のデータに基づいた、障害者手帳の種類別所持者数と、過去5年間の推移を示したものです。
障害者手帳の種類 | 令和元年 (2019年) |
令和2年 (2020年) |
令和3年 (2021年) |
令和4年 (2022年) |
令和5年 (2023年) |
過去5年間増減率 (%) |
---|---|---|---|---|---|---|
身体障害者手帳 (対象:身体障害者) |
37,329人 | 37,579人 | 37,780人 | 37,277人 | 36,964人 | -1.0% |
療育手帳 (対象:知的障害者) |
10,529人 | 10,977人 | 11,420人 | 11,879人 | 12,406人 | +17.8% |
精神障害者保健福祉手帳 (対象:精神/発達障害者) |
12,907人 | 13,952人 | 14,105人 | 14,990人 | 16,212人 | +25.6% |
合計 | 60,765人 | 62,508人 | 63,305人 | 64,146人 | 65,582人 | +7.9% |
出典:川崎市:第5次かわさき ノーマライゼーションプラン (改定版)障害福祉計画(令和6(2024)年度~令和8(2026)年度)
この表から、川崎市では精神障害者保健福祉手帳の所持者数が過去5年間で25.6%と大幅に増加していることがわかります。
また、療育手帳の所持者数も17.8%増加しており、知的障害者向けのサービス需要も高まっていることが示唆されます。
一方、身体障害者手帳の所持者数は微減傾向にあります。
川崎市の障害福祉施設数:種類別の最新データ(グループホーム・就労継続支援A型/B型・就労移行支援・生活介護)
川崎市内の障害福祉施設数と、その種類別の内訳は、地域におけるサービスの供給状況を把握する上で重要です。
以下の表は、川崎市が公表しているデータ、2024年時点の施設数をまとめたものです。
施設の種類 | 事業所数 |
---|---|
グループホーム | 110事業所 |
就労継続支援A型 | 21事業所 |
就労継続支援B型 | 73事業所 |
就労移行支援 | 36事業所 |
生活介護 | 96事業所 |
出典:障害福祉サービス等情報公表システムデータのオープンデータ(2024年9月時点)
出典:障害福祉情報サービスかながわ
※グループホームのみ令和6(2024)年12月時点、それ以外の施設は令和6(2024)年1月時点の情報になります。
この表から、川崎市ではグループホームと生活介護の事業所数が比較的多いことがわかります。
一方、就労継続支援A型事業所は、全国的な傾向と同様に川崎市においても少ない状況です。
これらのデータは、新規参入や事業拡大を検討する際の、サービス種類の選定に役立ちます。
川崎市 障害福祉サービスの利用者数は?実績と将来予測
川崎市における障害福祉サービスの利用状況を把握することは、事業のニーズを予測し、適切なサービス提供計画を立てるために不可欠です。
以下の表は、川崎市が公表している各サービスの利用者数(実績と見込み)を示しています。
施設の種類 | 令和4年 (2022年) (実績) |
令和5年 (2023年) (実績) |
令和6年 (2024年) (見込み) |
令和7年 (2025年) (見込み) |
令和8年 (2026年) (見込み) |
---|---|---|---|---|---|
グループホーム | 1,636人 | 1,692人 | 1,746人 | 1,846人 | 1,946人 |
就労継続支援A型 | 341人 | 360人 | 390人 | 398人 | 406人 |
就労継続支援B型 | 1,432人 | 1,521人 | 1,705人 | 1,816人 | 1,926人 |
就労移行支援 | 522人 | 518人 | 572人 | 596人 | 621人 |
生活介護 | 2,780人 | 2,855人 | 2,941人 | 3,025人 | 3,108人 |
出典:川崎市:第5次かわさき ノーマライゼーションプラン (改定版)障害福祉計画(令和6年度~令和8年度)
※令和6年度以降の実績は記事投稿時(2025年1月時点)でまだ公開されてないため見込みとなります。
この表から、全てのサービスにおいて利用者数が増加傾向にあることがわかります。
特に、就労継続支援B型と生活介護の利用者数の伸びが大きく、これらのサービスに対する需要が今後も高まることが予想されます。
川崎市の障害者施設ニーズを徹底解剖!市場分析データで読み解く
神奈川県川崎市で障害者施設を開設・運営するにあたり、市場のニーズを正確に把握し、適切な事業戦略を立てることは不可欠です。
ここでは、各障害者施設の種類別に、利用者数の現状と将来予測、そして施設の供給状況を分析し、どの分野に参入または事業拡大の可能性があるかを詳細に解説します。
川崎市の障害者施設の利用状況と充足率を比較(グループホーム・就労継続支援A型/B型・就労移行支援・生活介護)
川崎市における障害者施設のニーズを把握するため、各施設種類の利用者数と定員数を比較し、充足率を算出しました。
充足率は、現状のサービス供給量が需要に追いついているかを示す指標となります。
以下の表をご覧ください。
障害者施設の種類 | 定員 | 利用者数(見込み) | 充足率(見込み) | 供給状況(見込み) | ||
---|---|---|---|---|---|---|
令和6年 (2024年)9月時点 |
令和6年 (2024年) |
令和7年 (2025年) |
令和8年 (2026年) |
令和8年 (2026年) |
令和8年 (2026年) |
|
グループホーム | 1,825人 | 1,746人 | 1,846人 | 1,946人 | 107% | やや不足 |
就労継続支援A型 | 361人 | 390人 | 398人 | 406人 | 112% | 不足 |
就労継続支援B型 | 1,418人 | 1,705人 | 1,816人 | 1,926人 | 136% | 不足 |
就労移行支援 | 631人 | 572人 | 596人 | 621人 | 98% | やや充足 |
生活介護 | 3,054人 | 2,941人 | 3,025人 | 3,108人 | 102% | やや不足 |
出典:障害福祉サービス等情報公表システムデータのオープンデータ (2024年9月時点)
出典:障害福祉情報サービスかながわ(グループホームの情報のみ)
※上記の出典元に掲載されていない場合は、市町村のその他の公式資料や事業所公式サイトなどから数値を反映させております。
<供給状況について>
充足率は定員に対する利用者の割合です。
110%以上は「不足」、100%~109%は「やや不足」、95%~99%は「やや充足」、94%以下は「充足」と評価しています。
この充足率は、川崎市における施設整備やサービス提供計画を検討する上での参考指標としてご活用ください。
この表から、就労移行支援を除く全ての施設種類で、令和8年(2026年)時点の利用者数が定員を上回る見込みであることがわかります。
特に、就労継続支援B型は充足率が136%と非常に高く、大幅な供給不足が予測されます。
グループホーム、就労継続支援A型、生活介護も、利用者数の増加に伴い、さらなる施設整備が必要となるでしょう。
利用者予測と定員数から見る、川崎市で求められる施設とは
前項の分析結果を踏まえ、川崎市において今後需要の増加が見込まれる障害者施設の種類を具体的に見ていきましょう。
グループホーム
グループホームは、令和8年(2026年)時点の充足率が107%と、利用者数が定員を上回る見込みです。
これは、地域で共同生活を送りたいというニーズが高まっていることを示しています。
今後も利用者数の増加が予測されるため、グループホームの増設や、既存施設の定員増が求められます。
就労継続支援A型
就労継続支援A型は、令和8年(2026年)時点で充足率が112%と、利用者数が定員を上回る見込みです。
これは、雇用契約を結び、比較的軽度の障害を持つ方々が、一般就労に近い形で働く場へのニーズが高まっていることを示しています。
しかし、川崎市内の事業所数は21事業所と、他の施設形態に比べて少ない状況です(2024年情報)。
就労継続支援B型
就労継続支援B型は、令和8年(2026年)時点で充足率が136%と、大幅な供給不足が予測されています。
これは、雇用契約を結ばない形で、比較的重度の障害を持つ方々が、自分のペースで働く場へのニーズが非常に高いことを示しています。
川崎市内の事業所数は73事業所ありますが(2024年情報)、利用者数の増加に追いついていない状況です。
就労移行支援
就労移行支援は、令和8年(2026年)時点の充足率が98%と、ほぼ需要と供給が均衡している状態です。
しかし、就労を希望する障害者の数は今後も増加すると考えられるため、利用者の動向を注視しつつ、必要に応じて施設整備を検討する必要があります。
生活介護
生活介護は、令和8年(2026年)時点で充足率が102%と、利用者数が定員をわずかに上回る見込みです。
これは、重度の障害を持つ人や高齢の障害者を中心に、日中の活動や生活支援のニーズが高まっていることを示しています。
今後も利用者数の増加が予測されるため、生活介護施設の増設や機能強化が求められます。
川崎市で障害者施設を開業する3つの強み
神奈川県川崎市は、障害者福祉に力を入れている都市であり、施設を開設・運営する上で多くのメリットがあります。
ここでは、その中でも特に魅力的な3つのポイントを厳選してご紹介します。
これらのメリットを最大限に活用することで、事業の成功と地域貢献を両立させることが可能です。
川崎市の障害者施設向け補助金:活用ガイド
川崎市では、障害者施設の開設・運営を支援するため、独自の助成金制度を設けています。
これらの制度を活用することで、初期投資や運営コストを軽減し、事業の安定化を図ることができます。
詳細については、川崎市の公式ウェブサイトや担当窓口で確認し、積極的に活用しましょう。
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主な助成金・補助金制度
- 川崎市障害者福祉施設等整備事業補助金:
- 川崎市障害者共同生活援助事業運営費補助金:
- 川崎市障害福祉サービス事業所等職員家賃支援事業補助金:
障害者支援施設、障害福祉サービス事業所等の新築、増築、改築等の整備に要する経費の一部を補助します。
グループホームの運営に必要な経費(家賃、光熱水費、人件費等)の一部を補助します。
障害福祉サービス事業所等に勤務する職員の住居にかかる費用(家賃)の一部を補助します。
充実した連携ネットワーク:地域全体でサポート体制
川崎市では、行政機関、相談支援事業所、医療機関、教育機関など、障害者福祉に関わる多様な機関が連携し、施設運営をサポートする体制が整っています。
各機関が持つ専門知識やネットワークを活用することで、利用者への質の高いサービス提供や、運営上の課題解決がスムーズに進められます。
特に川崎市では、以下の点において独自の強みを持っています。
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川崎市独自の強み
- 地域包括ケアシステムの推進:
- 「川崎市障害者施策推進協議会」および「地域自立支援協議会」の設置:
- 独自の研修・人材育成プログラム:
- ICTを活用した情報共有:
川崎市は、高齢者だけでなく障害者も含めた地域包括ケアシステムの構築に力を入れています。
「かわさきノーマライゼーションプラン」に基づき、地域で安心して暮らせるよう、医療・介護・福祉・住まい・生活支援などのサービスが切れ目なく提供される体制づくりを進めています。
川崎市では、障害者福祉に関わる関係機関・団体が連携し、地域課題の解決やネットワーク強化を図るため、「川崎市障害者施策推進協議会」を設置しています。
また、各区には「地域自立支援協議会」が設置されており、より地域に密着した相談支援や関係機関との連携が行われています。
これらの協議会には、相談支援事業所、医療機関、教育機関、事業者団体などが参加しており、施設運営者はこのネットワークを活用することで、専門的な助言や情報共有、連携の機会を得ることができます。
川崎市では、障害福祉サービス事業所の職員を対象とした研修や、サービス管理責任者等研修など、独自の研修プログラムを実施しています。
これにより、市内の事業所全体のサービスレベル向上を図り、質の高い人材育成を支援しています。
川崎市では、ICTを活用した情報共有システム(例:障害福祉情報サービスかながわ)の活用を推進しており、関係機関とのスムーズな情報連携が可能です。
これにより、利用者の状況把握や支援計画の共有などが効率的に行えます。
地域特性とニーズに応じた施設運営:多摩川・臨海部など多様な地域資源の活用
川崎市は、多摩川沿いの自然豊かな地域から、活気あふれる臨海部の工業地帯まで、多様な地域特性を持っています。
また、市内には大規模な商業施設や文化施設も充実しており、障害のある方の社会参加を促進する環境が整っています。
これらの地域資源を活用し、利用者のニーズに合わせた多様な活動プログラム(例:多摩川での自然体験、臨海部企業との連携による就労支援、商業施設での社会参加プログラムなど)を提供することで、利用者満足度の高い施設運営が可能です。
さらに、川崎市は交通アクセスも良く、近隣地域からの利用も見込めるため、安定した経営基盤を築きやすいというメリットもあります。
川崎市 障害者施設運営を支える主な連携機関一覧
神奈川県障害者施設の開設・運営には、様々な専門機関との連携が不可欠です。
川崎市には、施設の立ち上げから日々の運営まで、多岐にわたってサポートしてくれる頼りになる連携機関が存在します。
ここでは、それぞれの機関の役割と具体的な支援内容について解説し、円滑な施設運営を実現するためのネットワークづくりを支援します。
行政機関:制度利用・施設運営の相談窓口
川崎市役所をはじめとする行政機関は、障害者施設の開設・運営に関する最も基本的な相談窓口です。
施設の指定申請、補助金・助成金の情報提供、条例や基準に関する指導など、幅広いサポートを行っています。
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主な行政機関
- 川崎市役所 障害保健福祉部 障害福祉課:
- 各区役所 地域みまもり支援センター(福祉事務所・保健所支所)高齢・障害課:
障害福祉サービス全般に関する相談、施設開設に関する手続き、補助金・助成金に関する情報提供などを行います。
地域住民からの相談対応、障害福祉サービスの利用申請受付、地域における関係機関との連絡調整などを行います。
相談支援事業所:川崎市独自の「地域自立支援協議会」との連携
川崎市では、一般的な相談支援事業所に加え、各区に設置された「地域自立支援協議会」が、地域に密着した相談支援活動を推進しています。
施設運営者は、これらの協議会に参加する相談支援事業所と連携することで、地域ニーズに合った利用者支援、困難事例への対応、関係機関とのスムーズな情報共有などが可能になります。
また、川崎市では、サービス管理責任者等研修に相談支援専門員が合同で参加する機会を設けるなど、相談支援の質の向上にも力を入れています。
医療機関:精神科医療を含む充実した医療ネットワーク
川崎市は、高度な医療機能を持つ大学病院や総合病院が複数存在するだけでなく、精神科医療にも力を入れています。
川崎市精神保健福祉センターを中心に、精神科病院、精神科クリニック、訪問看護ステーションなどが連携し、精神障害のある方の地域生活を支える体制を構築しています。
特に、精神障害者の地域移行・地域定着支援に力を入れており、施設運営者はこれらの医療機関と連携することで、利用者の状態に応じた適切な医療サポート、緊急時の対応、地域移行支援などを円滑に進めることができます。
教育機関:特別支援学校との連携、企業との連携による就労支援
川崎市内には複数の特別支援学校があり、卒業後の進路として障害者施設への入所・通所を希望する生徒が多くいます。
施設運営者は、これらの特別支援学校と連携することで、早期からの情報共有、施設見学・実習の受け入れ、就労に向けた支援などをスムーズに行うことができます。
また、川崎市は臨海部に工業地帯を抱え、多くの企業が集まっているため、企業との連携による就労支援にも力を入れています。
企業への職場実習の機会提供、就労後の定着支援など、地域ぐるみで障害者の就労をサポートする体制が整っています。
その他の関連機関・団体:川崎市独自のネットワークを活用
川崎市には、障害者福祉に関わる多様な機関・団体が存在し、それぞれが独自の活動を行っています。
川崎市社会福祉協議会は、福祉サービスに関する相談、ボランティア活動の推進、研修会の開催など、幅広い事業を展開しています。
また、川崎市障害者更生相談所は、専門的な相談支援や判定業務を行っています。
さらに、川崎市では、障害者団体やNPO法人などが活発に活動しており、施設運営者はこれらの団体と連携することで、利用者支援の幅を広げることができます。
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連携が想定される機関・団体
- 川崎市社会福祉協議会:
- 川崎市障害者更生相談所:
- 川崎市精神保健福祉センター:
- ハローワーク:
- 地域活動支援センター:
- NPO法人、ボランティア団体など:
福祉サービスに関する相談、ボランティア活動の推進、研修会の開催などを行います。
身体障害者、知的障害者を対象とした専門的な相談支援や判定業務を行います。
精神障害者の自立と社会参加を支援するための相談窓口です
障害者の就職相談、求人情報の提供、職業紹介などを行います。
障害者の地域での活動を支援します。
創作的活動又は生産活動の機会の提供などを行います。
障害者支援に関わる様々な活動を行っています。
イベント開催、情報提供、ピアサポートなど連携内容は多岐にわたります。
まとめ
本記事では、神奈川県川崎市で障害者施設の開設・運営を検討されている方、運営中の方へ向けて、川崎市の障害福祉の現状、ニーズ、市場分析、連携機関まで幅広く解説しました。
以下、重要なポイントをまとめます。
-
川崎市で障害者施設を開設・運営する上でのポイント
- 多様なニーズ:
- 市の支援体制:
- 地域特性:
川崎市では、特に精神障害者福祉サービスのニーズが高く、就労継続支援B型などで供給不足が見られます。
グループホーム、A型、生活介護も引き続き拡充が必要です。
独自の補助金制度や、行政・医療・教育機関などとの充実した連携ネットワークを活用できます。
多摩川や臨海部などの地域資源を生かした、利用者満足度の高い施設運営が可能です。
川崎市は、障害のある方が地域で安心して暮らせるよう、障害福祉サービスの充実に力を入れています。
本記事が、皆様の施設運営の一助となれば幸いです。