岡山市(岡山県) 障害者施設の立ち上げ・運営・分析完全ガイド|補助金制度・施設数・定員情報(グループホーム・A型B型・就労移行・生活介護)

岡山市で障害者施設を運営・新設したい事業者向けに、最新データを用いて市場規模やニーズを網羅的に整理しました。
ここでは人口推移から施設数、サービス利用実態までを一気に把握できます。

岡山市における障害福祉施設サービスの現状を把握する

本章では、岡山市の障害者人口・施設供給・サービス利用状況を三つの視点で確認します。
地域ニーズを定量的に捉えることで、運営計画や新規参入の判断材料としてください。

岡山市の障害者人口とその推移(障害者手帳所持者データ)

岡山市の障害者手帳保持者は過去5年間で約3.1%増加しました。
特に精神障害者保健福祉手帳保持者は31.6%増と急伸、療育手帳も13.2%増です。
一方、身体障害者手帳は高齢化の影響で微減傾向にあり、障害種別ごとの支援ニーズが明確に分かれています。

岡山市 障害者人口の推移 (手帳保持者数)

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障害者手帳の種類 令和元年度
(2019年度)
令和2年度
(2020年度)
令和3年度
(2021年度)
令和4年度
(2022年度)
令和5年度
(2023年度)
過去5年間
増減率(%)
身体障害者手帳 23,401人 23,295人 23,018人 22,659人 22,470人 -4.0%
療育手帳 6,178人 6,388人 6,605人 6,807人 6,996人 +13.2%
精神障害者保健福祉手帳 3,565人 3,523人 4,196人 4,369人 4,690人 +31.6%
合計 33,144人 33,206人 33,819人 33,835人 34,156人 +3.1%

出典:岡山市の統計 令和6年版 J 社会福祉
障害者手帳を複数所持する方や未交付の場合もあるため、実際の人数は表内の数値より多いと考えられます。
掲載数値は延べ人数であり、岡山市の障害者全体像を把握する際の目安となります。

岡山市内の障害福祉施設数と種類ごとの分布状況

令和3年度から令和7年度にかけて岡山市の障害福祉施設は大幅に増加しました。
グループホーム(共同生活援助)は約2.4倍、就労継続支援B型は2倍超に拡大し、地域生活支援を重視する市の施策が反映されています。
就労移行支援は横ばいで、投資余地が残っています。

岡山市 障害福祉施設数

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施設の種類 令和3年
(2021年)
令和4年
(2022年)
令和5年
(2023年)
令和6年
(2024年)
令和7年
(2025年)
グループホーム 28事業所 34事業所 48事業所 55事業所 66事業所
就労継続支援A型 57事業所 59事業所 63事業所 65事業所 67事業所
就労継続支援B型 58事業所 67事業所 80事業所 108事業所 121事業所
就労移行支援 20事業所 24事業所 25事業所 24事業所 25事業所
生活介護 45事業所 47事業所 56事業所 73事業所 67事業所

出典:障害福祉サービス等情報公表システム オープンデータ
公表データを基に編集しており、最新の指定・廃止情報は市への届出状況によって変動します。

岡山市における障害福祉サービス利用の実態

就労継続支援B型とグループホーム(共同生活援助)の利用者は今後も右肩上がりで、令和8年度にはそれぞれ2,171人と1,001人に到達見込みです。
就労継続支援A型は微減予測のため、定員調整と利用定着支援が課題となります。
生活介護は堅調に伸び、重度障害者向けニーズが高まっています。

岡山市 障害福祉サービス利用状況 (実績と見込み)

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施設の種類 令和4年度
(2022年度)
令和5年度
(2023年度)
令和6年度
(2024年度)
令和7年度
(2025年度)
令和8年度
(2026年度)
グループホーム 677人 716人 823人 908人 1,001人
就労継続支援A型 1,101人 1,180人 1,057人 1,036人 1,015人
就労継続支援B型 1,569人 1,456人 1,846人 2,002人 2,171人
就労移行支援 307人 310人 365人 397人 433人
生活介護 1,327人 1,322人 1,401人 1,438人 1,478人

出典:岡山市障害者プラン・第7期障害福祉計画
令和5年度以降の数値は記事執筆時点(2025年4月)の見込み値であり、正式発表後に修正される場合があります。

岡山市の障害者施設ニーズと市場動向を徹底分析

岡山市では障害福祉サービス計画の改定に合わせて施設整備が進んでいます。

ここでは供給量と将来需要を比較し、市場の伸びしろを数値で明らかにします。

障害者施設の将来の充足・不足状況(グループホーム・就A・就B・就労移行・生活介護)

令和7年3月時点の定員と、令和8年度の利用者見込みを比較すると、就労移行支援だけが定員超過となり供給不足が予測されています。

他のサービスは90%前後の充足率で「やや充足」層に位置しており、今後は利用定着支援と定員最適化が課題です。

岡山市 障害福祉サービスの充足率と需給状況

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障害者施設の種類 令和7年度末
(2025年3月)
定員
令和8年度
(2026年度)
利用者見込み
充足率 供給状況
グループホーム 1,042人 1,001人 96% やや充足
就労継続支援A型 1,228人 1,015人 83% 充足
就労継続支援B型 2,321人 2,171人 94% やや充足
就労移行支援 400人 433人 108% やや不足
生活介護 1,601人 1,478人 92% やや充足

出典:障害福祉サービス等情報公表システム オープンデータ(2025年3月時点)
出典:岡山県 共同生活援助(グループホーム)定員一覧(2025年4月1日時点)
※上記の施設ごとの定員数は、令和7年3月時点のWAMネットオープンデータをもとに集計しています。
なお、WAMネット上で定員が未記載となっている事業所については、他の公的資料や各事業所の公式情報を参照し、可能な範囲で最新の定員情報を補完しています。

<供給状況について>
充足率は定員に対する利用者の割合です。110%以上は「不足」、100%~109%は「やや不足」、90%~99%は「やや充足」、89%以下は「充足」と評価しています。
この充足率は、岡山市における施設整備やサービス提供計画を検討する上での参考指標としてご活用ください。

施設定員数と見込み利用者数から分析する需要拡大が期待される施設種別

主要な障害者施設は、全体として充足率90%台が多く、今後は需給バランスの調整が重要です。

各施設ごとの現状や課題については、このあと個別に詳しく解説します。

グループホーム(共同生活援助)

現時点では概ね供給が足りていますが、今後の利用増加や重度化への備えとして、新規開設の検討やサービス内容の充実化、既存施設の機能強化を計画的に進めることが重要です。

就労継続支援A型

就労継続支援A型は充足状態にありますが、今後の安定運営には収益構造の見直しが不可欠です。

例えば、付加価値の高い軽作業やデジタル業務の導入などで工賃向上を目指すとともに、利用者の定着率を高める取り組みも効果的です。

就労継続支援B型

就労継続支援B型は障害程度の高い利用者が多く、定着支援員の配置など加算の活用が収益安定に役立ちます。

また、市場ニーズに合わせた商品のEC販売など新しい収益モデルにも積極的に取り組むことが推奨されます。

就労移行支援

就労移行支援は既に定員を超えており、待機者が発生する見込みです。

岡山市は今後、ITや事務職向けの訓練枠を拡充予定のため、新規開設や事業拡大のチャンスが大きい分野です。

生活介護

生活介護は重度障害者向けサービスの需要が引き続き増加しています。

今後は、医療的ケアに対応できる看護師常駐体制の整備などで、地域から選ばれる施設づくりが重要です。

岡山市で障害者施設を開設するメリット3選

岡山市は独自の補助金制度や地域ネットワークが整備されており、障害者施設を新設・運営するうえで好条件がそろっています。

本章では「資金」「連携」「行政計画」の三方向から、岡山市ならではの優位性を具体的に解説します。

資金調達を後押しする岡山市の補助金サポートと最新情報網

岡山市では障害者施設の運営を支援する補助金が随時公募されますが、募集期間が短いものも多く、情報の鮮度が重要です。
以下では代表的な補助金の一例と、最新公募を逃さないための情報源をまとめました。

    補助金例と情報収集ツール

  • 岡山市高齢者・障害者施設等運営支援金(一例):
  • 物価高騰による運営コスト増を補填するため、市が運営費の一部を補助する制度です。
    募集要領や対象施設・補助額は年度ごとに更新されるため、公式サイトで最新概要を確認してください。
    出典:岡山市高齢者・障害者施設等運営支援金のご案内(障害事業所向け)

  • 岡山県公式サイト「障害福祉」新着情報:
  • 国や県が実施する整備費補助や緊急対策補助など、最新の公募情報が随時掲載されます。
    月に一度はチェックして、受付開始を見逃さないようにしましょう。
    出典:岡山県公式サイト「障害福祉」新着情報

  • WAM助成情報メールマガジン:
  • 独立行政法人福祉医療機構(WAM)が配信する無料メルマガで、全国の福祉・医療分野の補助金・助成金公募情報や採択結果がまとめて届きます。
    岡山市独自補助金のほか、国や他自治体の助成金も把握できます。
    出典:WAM助成情報メールマガジン

補助金情報は頻繁に更新されます。
公式サイトを定期的に確認し、メールマガジンで速報を受け取り、申請書類や事業計画を日頃から整備しておくことで、チャンスを逃さず活用できます。

地域密着型支援が充実している岡山市の特性

岡山市には北区広瀬町、北区祇園、中区桑田、東区瀬戸、南区福富西、南区妹尾の市内6ブロックに「地域生活支援拠点等」が設置され、障害者と家族を24時間体制でサポートしています。

拠点が緊急ショートステイ受入れや夜間・休日の電話相談を担うため、施設運営者は急変時でも頼れるバックアップ先を確保できます。

    主なメリット

  • 緊急ショートステイ:
  • 拠点が空床を調整し、利用者を即日受け入れ可能。

  • 相談支援専門員の協働:
  • 計画相談・モニタリングを共同で実施でき、人的負担を軽減。

  • 地域交流イベント:
  • 就労マッチング会や福祉バザーへ優先参加でき、利用者の社会参加を促進。

政令指定都市ならではのワンストップ認可体制

岡山市は政令指定都市のため、障害福祉サービスの指定・更新・監査を市役所だけで完結できます。

    事業者視点のメリット

  • 申請窓口が一本化:
  • 指定・加算届・廃止届などを市へ提出するだけで手続き終了。

  • 監査・実地指導も市内で完結:
  • 日程調整や追加資料の提出先も市担当部署のみで済み、時間と労力を節約。

  • 基準条例を自市で整備:
  • 人員・設備基準の改正情報を市公式サイトで即確認でき、対応がスムーズ。

中核市・一般市の場合、申請書類は市で受理されても審査・決定は県が担当し、監査も県職員が実施するのが一般的です。
そのぶん書類往復が増え、決定までに時間がかかりやすい点と比べると、岡山市のワンストップ体制は大きなアドバンテージと言えます。

出典:厚生労働省「指定障害福祉サービス事業者の指定権限の移譲等について」 
出典:岡山市「指定障害福祉サービス事業等の人員・設備及び運営に関する基準条例」

岡山市における連携体制:障害者施設の開設・運営を支える主要機関ネットワーク

岡山市で障害者施設を運営する際は、行政・医療・教育・就労支援など多方面との連携が欠かせません。
市域には相談支援拠点や専門病院、養成校がコンパクトに集約しており、事業者はワンストップでサポートを受けられます。ここでは分野別に要所を整理します。

行政機関(岡山市役所・関連部署)

指定申請・運営指導・助成相談は市役所内で完結。県庁へ二重提出する手間がありません。

    主な担当部署

  • 岡山市 保健福祉局 障害福祉課:
  • 障害福祉サービスの指定・変更・加算届の受付窓口。年度ごとの補助事業説明会も開催。

  • 岡山市 保健所 健康づくり課:
  • 感染症対策や精神保健相談を担当。医療的ケア児者の支援体制づくりで連携必須。

  • 各区役所 福祉課:
  • 生活保護・地域包括ケアと連携し、利用者の地域定着をサポート。

相談支援事業所との連携

利用者紹介やサービス等利用計画づくりで日常的に協働。顔の見える関係構築が重要です。

    岡山市の相談支援体制

  • 岡山市障害者基幹相談支援センター:
  • 複雑事例の後方支援・24時間相談を実施。事業者向け研修で最新制度を共有。

  • 指定特定/障害児相談支援事業所(約120カ所):
  • 利用者の計画作成・モニタリングを担当。ニーズに応じ最適な事業所と連携を。

医療機関との協力体制

急変時の受診や医療的ケア連携先を確保することで、利用者の安心度が高まります。

    主要連携病院

  • 岡山大学病院:
  • 高度急性期と在宅移行支援を担い、難病・重症合併症ケースで連携。

  • 国立病院機構 岡山医療センター:
  • 重症心身障害児者病棟を有し、退院前カンファに参加しやすい。

  • 岡山市立市民病院:
  • 救急医療と専門外来が充実。夜間緊急時の受け入れ協定先に適する。

教育機関との連携

移行支援や人材育成で協力すると、施設の専門性と地域定着力が高まります。

    連携候補

  • 岡山県立岡山東支援学校:
  • 高等部実習・卒後進路情報の共有で就労移行やB型と連携。

  • 岡山県立岡山盲学校・岡山聾学校:
  • 視覚・聴覚障害児者の移行プランを学校と共同作成。

  • 岡山大学 医学部・保健学研究科:
  • 看護・リハ職の実習受入れや共同研究でサービスを高度化。

ハローワーク・NPO・スポーツ団体との連携

就労支援や地域参加の場を広げることが、利用者のQOL向上につながります。

    岡山市の主要関連機関

  • ハローワーク岡山:
  • 職業相談・助成金活用で就労系サービスの出口支援を強化。

  • 岡山市社会福祉協議会:
  • ボランティア紹介、日常生活自立支援事業など地域福祉の要。

  • 岡山県障害者スポーツ協会:
  • 障害者スポーツ大会や体験会を開催。生活介護・GH利用者の社会参加を促進。

  • 岡山市ボランティア・NPOセンター:
  • NPO登録や助成情報を提供し、地域連携プロジェクト立ち上げを支援。

行政・医療・教育・就労支援の各機関と早期に連絡網を構築し、顔が見える協力関係を保つことが、岡山市での安定運営とSEO対策の双方に有効です。

まとめ:岡山市で障害者施設事業を成功させるための最重要ポイント

この記事では人口推移・施設供給・サービス利用実態を中心に、岡山市の障害福祉市場をデータで可視化しました。
下記の要点を押さえれば、事業計画と資金調達を効率化できます。

    岡山市での施設運営 成功チェックリスト

  • 人口動向を読む:
  • 精神・発達系手帳保持者が5年間で +31%/+13%。対応プログラムの拡充は必須。

  • 供給ギャップを突く:
  • 就労移行支援は定員超過、グループホーム(共同生活援助)・就労継続支援B型は充足率90%台。新設・増床はこの3種が狙い目。

  • 資金調達を逃さない:
  • 市運営支援金+県・国公募は申請期間が短い。公式新着とWAMメルマガで速報を把握。

  • 24時間バックアップ網:
  • 6ブロックの地域生活支援拠点が緊急ショート対応。リスク分散と家族安心を両立。

  • ワンストップ手続き活用:
  • 政令市の強みで指定・監査が市一本化。書類往復を最小限にして開設スピードを上げる。

まずは需要過多分野の事業計画を作成し、補助金募集時に即提出できる書類テンプレートを整備しておきましょう。
早期に基幹相談支援センター・区役所福祉課と連絡網を構築すれば、開設後の利用定着もスムーズです。

岡山市から始まる一歩が、利用者はもちろん地域社会全体の未来を明るく照らすモデルケースとなることを願っています。